運営:Nu Realize株式会社
発注者向け11分で読める2026-09-29

65歳超雇用推進助成金とは?3コースの内容と支給額を解説

65歳超雇用推進助成金の3つのコース(65歳超継続雇用促進・雇用管理改善・無期雇用転換)の内容と支給額、申請の流れを解説。助成金の対象は雇用に限られ業務委託には使えない点や、助成金だけでは解決できない人手不足への対応まで、詳しく紹介します。

65歳超雇用推進助成金は、企業が65歳以上の高齢者の雇用を進める際に、国から受け取れる助成金です。定年の引き上げや廃止、有期雇用者の無期雇用への転換など、実施した措置に応じて3つのコースから申請できます。最大240万円を受け取れるコースもある一方、対象になるのは「雇用」に限られ、業務委託や顧問契約には使えないという条件もあります。人事担当者や経営者が高齢者雇用の制度設計を検討する際、どの助成金がどの措置に対応しているかを事前に把握しておくことで、無駄のない申請につながります。本記事では、3つのコースの内容・支給額・申請の流れと、助成金だけでは解決できない人手不足への向き合い方を解説します。

目次

65歳超雇用推進助成金とは

65歳超雇用推進助成金は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が運営する、65歳以上の高齢者雇用を進める企業向けの助成金です。国の高年齢者雇用施策の一環として、2021年4月に施行された改正高年齢者雇用安定法(70歳までの就業機会確保が努力義務化)と連動する形で運用されています。制度の全体像は高年齢者雇用安定法とは?70歳就業確保の5つの選択肢もあわせてご覧ください。

助成金は3つのコースに分かれており、企業が実施した措置の内容によって、申請できるコースが変わります。総務省統計局の発表によると、65歳以上の就業者数は22年連続で増加し過去最多となっており、企業側にも高齢者雇用の体制整備を後押しする制度的な支援が求められている背景があります。

3つのコースの内容と支給額

コース

対象となる措置

支給額(上限)

65歳超継続雇用促進コース

65歳以上への定年引上げ、定年廃止、66歳以上の継続雇用制度導入等

1〜3人で15万〜60万円、10人以上で30万〜240万円(措置内容により異なる)

高年齢者評価制度等雇用管理改善コース

賃金・人事処遇制度、労働時間制度等の雇用管理改善

主要な措置で中小企業60万円/その他45万円、機器導入費用は別途中小60%・その他45%(上限50万円)を加算

高年齢者無期雇用転換コース

50歳以上・定年未満の有期契約労働者を無期雇用に転換

対象労働者1人あたり40万円(中小企業以外は30万円)、1事業所年度10人まで

※支給額は2026年4月時点の制度内容に基づく参考情報です。実際の申請にあたっては、JEEDの最新の手引きを必ず確認してください。

65歳超継続雇用促進コース

定年を65歳以上に引き上げる、定年制度そのものを廃止する、66歳以上まで継続雇用する制度を導入するなど、複数の措置のいずれかを実施した事業主が対象です。「他社による継続雇用制度」とは、グループ会社等、自社以外の企業で継続雇用する制度を導入するケースを指し、単独では継続雇用が難しい中小企業でも活用しやすい仕組みです。就業規則等に措置を規定し、労働基準監督署へ届け出ていることに加え、高年齢者雇用推進者の選任や、教育訓練の実施等を含む雇用管理措置を1つ以上実施していることが条件になります。申請は、制度の実施日の属する月の翌月から4か月以内という期限があるため、制度変更のタイミングで早めに準備することが重要です。

高年齢者評価制度等雇用管理改善コース

高齢者向けの賃金・人事処遇制度、労働時間制度、専門職制度、健康管理制度等を整備した場合に申請できるコースです。制度整備にあわせて機器等を導入した場合は、導入費用の一部(中小企業60%・その他45%、上限50万円)も別途支給対象になります。申請には、実施前に雇用管理整備計画書を提出する必要があります。

高年齢者無期雇用転換コース

50歳以上・定年年齢未満の有期契約労働者を、無期雇用労働者に転換した場合に申請できるコースです。対象者は、有期契約として締結された期間が通算5年以内であることが条件で、無期雇用転換日において64歳以上の労働者は対象外になります。申請は、無期雇用転換計画の開始日の6か月前から3か月前までの間に行う必要があり、1支給申請年度・1事業所あたり10人までが上限です。

助成金の対象は「雇用」に限られる

3つのコースに共通する重要な前提があります。それは、助成金の対象になるのは、企業と労働者の間に雇用関係がある場合に限られるという点です。定年引き上げ・継続雇用制度・無期雇用転換のいずれも、雇用契約を結んでいることが前提の制度です。

一方、シニア人材と業務委託・顧問契約を結ぶ場合は、雇用関係がないため、この助成金の対象にはなりません。業務委託は雇用ではなく、フリーランス新法(取適法)等、別の法的枠組みで保護される働き方です。詳しくは業務委託とは?企業側のメリット・注意点で解説しています。混同しやすい点として、業務委託契約であっても、実態が雇用に近い(勤務時間や進め方を細かく指示している等)場合は「偽装請負」とみなされるリスクがあるため、助成金の申請対象かどうかとは別に、契約の実態にも注意が必要です。

つまり、「65歳以上の人材を活用したいが、正社員としての再雇用・定年延長までは踏み切れない」という企業にとっては、助成金の対象にはならないものの、業務委託・顧問という形で柔軟に経験を活用する選択肢が別に存在するということです。どちらが適しているかは、次の章で詳しく整理します。

雇用以外の形での活用を検討中の企業様へ
助成金の対象にならない業務委託・顧問契約でも、シニアワーク+なら1時間からのスポット相談で経験豊富な人材と接点を持てます。まずは無料の会員登録から検討できます。無料で会員登録する

申請の流れと注意点

  1. 実施する措置を決める: 定年引き上げ・雇用管理改善・無期雇用転換のうち、自社の状況に合う措置を選びます。複数のコースを同時に検討する企業もあります。
  2. 計画書を提出する: コースによっては、措置の実施前に計画書の提出が必要です。特に高年齢者評価制度等雇用管理改善コースは、実施前の計画申請が前提となります。計画書の提出先は、事業所の所在地を管轄するJEEDの都道府県支部です。
  3. 措置を実施し、就業規則等に反映する: 定年引き上げ等は、就業規則の変更と労働基準監督署への届出が必要です。あわせて、高年齢者雇用推進者の選任や、教育訓練の実施等の雇用管理措置も1つ以上行います。
  4. 期限内に支給申請を行う: コースごとに定められた申請期間内に、必要書類を添えて申請します。期限を過ぎると受給できないため、社内でスケジュールを管理することが重要です。
  5. 審査を経て支給決定: 提出書類の審査後、支給が決定すると助成金が振り込まれます。書類に不備があると差し戻しになることもあるため、余裕を持ったスケジュールで準備することをおすすめします。

注意点として、助成金には予算の上限があり、申請が多い場合は年度内に予算に達して受付が終了することがあります。制度変更を検討している場合は、早めに情報収集を始めることをおすすめします。また、就業規則の変更や計画書の作成には専門知識が必要になる場面も多いため、社会保険労務士に相談しながら進める企業も少なくありません。自社だけで対応が難しい場合は、早い段階で専門家に相談することで、申請の手戻りを防げます。

シニア人材の活用を、雇用以外の形でも検討したい企業様へ
シニアワーク+では、正社員としての再雇用に踏み切る前に、まずスポット相談や業務委託で経験豊富なシニア人材と接点を持つという選択肢をご提案しています。会員登録は無料です。無料で会員登録する

活用イメージ

助成金の活用イメージを、架空の例で紹介します。※以下は説明のための架空の例です。実在の企業の事例ではありません。

例1: 製造業(従業員45名)が定年を65歳から70歳に引き上げたケース

人手不足を背景に、就業規則を変更して定年を70歳に引き上げ、65歳超継続雇用促進コースを申請するイメージです。対象人数に応じた助成金を受け取りながら、高年齢者雇用推進者を選任し、健康管理制度も同時に整備します。制度変更から申請までのスケジュールを事前に社内で共有し、期限内の申請を徹底したことで、スムーズに支給を受けられました。

例2: 商社(従業員20名)が正社員化ではなく業務委託を選んだケース

再雇用終了後の元社員に継続して関わってほしいが、無期雇用への転換までは判断できないという理由で、助成金の対象にはならないものの、業務委託契約で月2回のアドバイザー契約を結ぶイメージです。雇用に伴う社会保険料等の固定費を抑えながら、経験を活用します。数か月試してから、状況次第で正社員としての再雇用や無期雇用転換を検討するという段階的なアプローチを取っています。

助成金だけでは解決できない人手不足への対応

65歳超雇用推進助成金は、既存の社員を65歳以降も雇用し続けるための制度です。人手不足の解決策として有効ですが、これだけで全ての課題に対応できるわけではありません。次のような場合には、助成金の対象にはならないため、別の選択肢を検討する必要があります。

  • 社内に65歳以上で継続雇用したい人材がいない場合
  • 特定の専門知識(経営課題・技術指導等)だけを、必要なときに借りたい場合
  • 正社員化・無期雇用化の前に、まず小さく試したい場合

こうした場合は、助成金に頼らず、社外のシニア人材と業務委託・顧問契約を結ぶという選択肢があります。中小企業がシニア人材を活用する具体的な方法は中小企業がシニア人材を活用する方法で、費用感はシニア人材への発注費用はいくら?で解説しています。助成金による雇用促進と、業務委託による専門性の補完は、どちらか一方ではなく、状況に応じて両方を組み合わせることもできます。既存社員の継続雇用は助成金を活用し、社内に無い専門性は業務委託で補うという使い分けが、実務的には現実的な進め方です。

よくある質問

Q. 助成金を使えば、業務委託契約にも支給されますか?
A. されません。65歳超雇用推進助成金は雇用関係がある場合に限られるため、業務委託・顧問契約は対象外です。

Q. 複数のコースを同時に申請できますか?
A. 措置の内容が異なれば、複数のコースを申請できる場合があります。ただし、それぞれのコースごとに条件・申請期限が異なるため、事前にJEEDまたは社会保険労務士に確認することをおすすめします。

Q. 中小企業とそれ以外で支給額に差がありますか?
A. あります。高年齢者評価制度等雇用管理改善コースと高年齢者無期雇用転換コースは、中小企業の方が支給額が高く設定されています。

Q. 申請には社会保険労務士が必要ですか?
A. 必須ではありませんが、就業規則の変更や計画書の作成が必要なため、社会保険労務士に相談しながら進める企業も多くあります。

Q. 助成金を受給した後に、対象者が退職したらどうなりますか?
A. コースや状況によって扱いが異なるため、個別の事情がある場合はJEEDまたは管轄の窓口に確認する必要があります。

Q. 助成金の対象にならない場合、シニア人材の活用は諦めるしかないですか?
A. 諦める必要はありません。業務委託・顧問契約であれば、助成金の対象にはなりませんが、雇用に伴う固定費や手続きの負担を抑えながら、経験豊富なシニア人材の知見を活用できます。

Q. 助成金の申請から支給までどれくらいの期間がかかりますか?
A. コースや審査状況によって異なりますが、申請書類の準備から支給決定まで、数か月単位の期間を見込んでおく必要があります。制度変更を検討する段階から、早めにスケジュールを立てることをおすすめします。

Q. 定年を引き上げずに、継続雇用制度の導入だけで申請できますか?
A. できます。65歳超継続雇用促進コースは、定年引き上げ・定年廃止・継続雇用制度導入のいずれかを実施していれば対象になります。自社の状況に合わせて、どの措置が現実的かを検討しましょう。

Q. グループ会社がない中小企業でも「他社による継続雇用制度」を使えますか?
A. 他社との契約により継続雇用を実施する仕組みのため、グループ会社がない場合でも、提携先企業との合意があれば検討できる場合があります。詳細な条件はJEEDまたは社会保険労務士に確認することをおすすめします。

まとめ

65歳超雇用推進助成金は、定年引き上げ・雇用管理改善・無期雇用転換という3つのコースで、65歳以上の雇用を進める企業を支援する制度です。最大240万円という支給額は大きな後押しになりますが、対象になるのは雇用関係がある場合に限られ、業務委託・顧問契約には使えない点に注意が必要です。

正社員としての雇用に踏み切るかどうかを判断する前に、まず業務委託やスポット相談で経験を活用してみるという選択肢も検討する価値があります。人事担当者・経営者の方は、社内の高齢者雇用の状況を棚卸しし、助成金の対象になる措置があるかどうかをまず確認することから始めるとよいでしょう。ご相談はお問い合わせから承っています。

まずは無料で始めてみましょう

登録・スカウト送信・メッセージがすべて無料です。